top of page

夫婦の愛情表現

 ここ最近、知人たちからの離婚や不倫といったカミングアウトが重なりました。

 難しいですね。夫婦になることも、夫婦であり続けることも、夫婦を解散することも。


 夫からの一番の愛情表現とはなんだろうかと、ふと考えてみると、それは、

「ちゃんと家に帰ってくること」

 このひと言に尽きるような気がします。

 え、ハードル低くない? と思われるでしょうか。

 でも、これがちゃんとできている人は、案外少ないです。これさえ守られているうちは、夫婦は大丈夫なような気がしますし、逆にいうと、まわりを見ていても、ここが崩れることがひとつの予兆になっていくように思います。


 編集者だった頃、女性に大変モテる、ある男性がいました。対女性どころか、人類にモテるような、素敵な人です。

 その人は、どんなに夜遊びをしても、朝6時には必ず家に帰り、食卓に座って、家族全員で朝ごはんを食べると言っていました。ご自分のなかで、線引きがちゃんとあるんですね。


 では、妻からの一番の愛情表現はなにか。


 子どもに恵まれる前、私は仕事がすごく面白くて、たくさん働き過ぎていました。体から具体的なSOSも現れていたのですが、自分は若いという慢心とか、虚栄心とか、いろんな至らなさがあって、仕事を減らす努力をしていませんでした。

 見かねた夫が、仕事の量もペースも落とすように説得にかかってきたのですが、その論法は見事でした。

 僕はきみのことをとても大事にしているのに、そのきみは、自分をいい加減に扱っている。それは、僕をいい加減に扱うのと同じことだ。こう言ったんですね。

 

 分かったわよ、仕事を減らせばいいんでしょ!

 とは、言い返しませんでしたし、思いもしませんでした。  もっと大きな問いが夫から投げかけられていることを、受け取りました。

 それから、ちゃんと暮らそうと思って、ひとつずつ始めて、子どもを授かって、しかもふたりも、現在に至ります。

 

 妻からの愛情表現について書いていませんでした。

 一番は、幸せになることに遠慮しないで、のびのび生きること。でしょうか。



<< 前へ     次へ >>


最新記事

すべて表示

東風吹かば

私のエッセイ「木陰の贈り物」が中学受験の国語で取り上げられ、しかも私には解けない問題があったことをきかっけに、いろんなことを思い出しました。 正確には、解けないというよりは、なんと答えてよいか分からなかったのです。 そもそもエッセイは、自分でもうまく説明できない、ままならない思いだからこそ言葉にしていくものだと思います。書いている本人は、本が出たあとも、はたしてこの表現で言いたいことが伝わっている

編集長の採点簿

太田和彦さんといえば、私のような左党にとっては居酒屋文学の代表のような存在です。東京の街を遊びまわる際には、ご著書を参考にしてきました。 その太田さんがめちゃくちゃおもしろそうな翻訳本『食農倫理学の長い旅』を出されたというので、しかもそれが400ページを超える大作と知り、なるほど、このような形で食の道を極めていくキャリアもあるんだなあ、さすがだなあと思っていたのですが、本を少し読んですぐに分かりま

家自慢

今日は原稿を一本納品しました。ある出版社の創立125周年を記念して作られた本に掲載される原稿で、字数は2500字。興味があるテーマだったから、気負わずに書けたのはいい。それでも、途中でああ、どうしようと困った点がひとつありました。 今取り組んでいる山梨の家のリノベーションについて触れなくては書き進められない内容だったのですが、どこまで詳細に書くかということについて、考えてしまいました。 なんだか、

Comments


bottom of page