- KEI SUZUKI
いつか渡辺美里を歌う日
長女が保育園最終日を迎えた。母親になって6年経ったということだ。20キロ近くある人間を電動自転車の前と後ろにのせ、真夏にも豪雨にも零下にも負けずに坂道をのぼる毎日がついに終わった。
そんな今日、篠田真貴子さんのこんなツイートを見つけた。
時間は不可逆的という絶対の性質をもちながら、その中身は均一ではない。この6年というのは、初めての妊娠と出産にはじまり、働きながら子どもを育て、時間とお金と家族の健康をどうやりくりしていくか、毎日がとにかく濃密だった。
働いていても、ずっと家にいても、親として生きることはとても大変なことだ。特にここ数日間は、子どもと自宅に閉じこもることも多くて、子どもの遊び相手をしながら仕事をしたり、ごはんやおやつを作ったり、そうこうしているうちに部屋が汚くなって片付けて……整ったオフィスで仕事だけをしているほうが楽かもしれないと痛感したりもした。
小さい子を保育園に預けるということは、集団感染の恐れと常に一体である。インフルエンザ、手足口病、水痘、RS、ノロウイルス……もう、例をあげればてんこ盛り。子どもを持つまで、こんなにもたくさんの感染症があることをまったく意識せず暮らしていた。罹って入院したり、幸運にも免れたりしながら、「そうやって免疫を獲得して子どもは強くなっていくんだ」という言葉に励まされてフルタイム会社員生活を綱渡りで歩いてきた。
子どもの体調不良だけではない。
編集者だった頃は、18時15分に保育園に着いた時点で疲れ果て、子ども用の椅子に「一瞬だけ拝借」と尻をねじ込んだら、気絶するように眠ってしまっていたことが何度かあった。そういう親は、私だけではないはずだ。
母親特有の不調もある。出産直後の乳腺炎にはじまり、手根管症候群を頻発し、足底筋膜炎に数回かかり歩けなくなり、体のどこかが必ず痛いという状況が産後3〜4年は続いた。
たとえば手根管症候群は、メカニズムは解明されていないとはいえ、出産後の女性と高齢の女性に顕著にみられる症状で、ということは、年老いたときの予行演習をしていたとも言える。フライパンが持てず(調理が困難)、ペットボトルのキャップがあけられない。覚悟しておかないとなあ。具体的な痛みだけではなく、子どもが2歳くらいになるまでは夜泣きにも悩まされ、当然、慢性的な睡眠不足にもなった。満身創痍というやつだ。
いろいろ書いたけれど、それでも、この人生がとても大事で、気に入っている。
出版社に入ったばかりのころ、雲の上に棲む存在のある編集長から
「女のひとは、楚々として、粛々と働きなさい」
と言われたことがあった。私はこの言葉が今でも好きで、大事に思っている。「粛々と」は今できることを強い意志で着実に続けていくという意味で、今ほどこの言葉が大切なタイミングもないだろう。
そう、今日の本題はお母さんの健康だった。
毎日そこそこ元気でないと、人は自分ばかりが割を食っていると感じるものだと思う。なにかと思い通りにならないことだらけだからこそ、自分のことは、なるべく、清潔で快適にしていたい。
元気でいるために私が続けていることは、ビタミンと鉄分の摂取に加えて、今日は絶対エネルギー満タンでいたいという日は、アミノ酸サプリメント(マツキヨのオリジナルブランドのこれ)を大量(説明書きの2〜3倍)摂取する。運動をする場合にも、もちろん摂る。ある友人にアドバイスしてもらってからというもの、疲れにくくなった。これで基本的にはわりと元気。
あとは、人とのごはんや飲酒はおいしいものを、たっぷり、楽しく。家では19時30分以降は食べない。こんなところか。でも、大好きなカラオケに行けないので、淋しいし、退屈だ。久々の歌い初めは、
あれから10年も
この先10年も
絶好調なノドで渡辺美里なんかを歌えたら幸せだ。
「これをすれば元気になる」という方法をいくつも知っておくことがとても大事だと思う。こんなときだからこそ、なおさら。