県から連絡があり、民泊として営業することと、料理とお酒の提供を行っても良いという回答が得られました。これでひと安心です。
ここに来るまで、県と市の間を「たらい回しにされる」とはこういうことかという状況でした。具体的には、飲食店営業許可は市の保健所の管轄、民泊事業許可は県庁の管轄となり、互いに連携はしていないようでした。
はじめて役所を訪れたときは、「ゲスト用に料理を作る厨房と、家族のために調理をする厨房は別々に作らなければいけません」の一点張りで、門前払いされたような形でした。昨年規制緩和があり、民泊事業に関しては「厨房はひとつでもOK」という弾力的な運用をするようにと、各都道府県に通達がいっているはずなのに、なぜ厨房をふたつ作りなさいと言われてしまうんだろう?と、もどかしい気持ちでした。
ただ、こういうとき、「縦割りってやつはこれだから腹が立つ!」とは、私は全然思わないんです。こちらが希望していた計画に「かぎりなくNO」という回答がきてからが、さあ、はじまったなという感じがします。
というのは、子どもが生まれてからこれまで、待機児童になって区役所の保育課にもずいぶんお世話になりましたし、上の子に障がいがあることが分かってからは、福祉課にもしょっちゅう通ってきました。
そのなかで、役所の担当者というのはものすごく忙しくて、ひとりひとりの細かな状況まではケアしきれないということも知りました。そして、案外、最新の情報もアップデートしきれていないんだということも分かりました。
それに、仕事をしていると、多くの人の意図やさまざまな規制が絡み合って、うまくいかないことなんてしょっちゅうですから、じゃあ、どうしよう?ということを考える練習を、ずっと続けてきているわけです。だから、断れられてからが、本番。
今回の件でいえば、まず、「役所の担当者であれば、規制緩和のことを知っていて当然」という私の思い込みがありました。何度か話をするうちに、あれ?もしかしてご存じないのかも?と思いはじめ、こんなことを言っては失礼かもと思いつつも、私から文書や報道資料を提示して、なんとか私に協力してくれるようお願いすることからはじめました。
結果、県と市が連携をとって協議の場を作ってくださり、「教えてくださって勉強になりました、ありがとうございます」と、かえって、頭を下げられるような形になりました。
私はといえば、幸いにも、いろんなアドバイスをしてくれる人がまわりにいるので、「じゃあこういう分野についても調べておこう」と動けたりして、今回の場合は、役所の方の説明を鵜呑みにしないで済んだ点が、良かったと思います。
役所というのは、私のやりたいこと、生きやすい形の実現のために協力してくれる人がいる場所ですから、何度でも出向くことを厭わないという姿勢を見せることも、大事だと思います。
そもそも、こっそり無許可で営業する(まさに隠れ家ですが)という選択はあり得ません。
これから、保健所と一緒に、厨房とダイニングの図面の確認を行い、民泊に関しては消防の許可を得て......とようやくスタート地点に立てました。
私が3年後に思い描いているのは、民泊+飲食という形からもう少し進んだものです。助成金や補助が受けられるように、確定申告が終わったらちゃんと事業計画書を作らなくてはと思っています。
注記:あくまでも私の場合は、さまざまな条件を検討してもらった結果、厨房がひとつで良いということになったので、「じゃあ私の/僕の家でもすぐに人を泊めて料理を出してお金をもらって新規事業を始められるんだ!」というわけではありません。厨房が食品衛生法の基準に達していなければならない点は、これまでと変わりありませんので、各自の責任で判断してください。