- KEI SUZUKI
4月は147回料理した
まるまる1か月を在宅勤務で過ごした4月。
30日間の食費を計算してみたら、ざっと76,000円。1日2,500円ということになる。
外食はゼロ。テイクアウトは3回利用した。月の食事回数が90回として、87回料理をしたわけだ。9時と15時のおやつも入れると+60回で147回。
ちなみに、私はおやつのときに菓子をパッケージのまま子どもに渡したりしない。市販のビスケットを皿にのせてヨーグルトとジャムを添えたり、あぶった海苔でせんべいを巻いてやったり、何かしら手を加える。それだって料理のひとつだろう。
ちなみにほかの月の食費はだいたい40,000円〜45,000円。外食や平日のランチ代は含まず、自炊だけの食材費なので、まあ、4月は妥当なところかなと思う。つくづく、子どもの給食は本当にありがたいし、私は外食費を使いすぎている。
総務省の家計調査報告によると、2020年1月〜3月における2人以上の世帯の1か月の食費の平均は約79,000円とのこと。ファイナンシャルプランナーが提案する、収入に対するいわゆる理想的な食費は15%と言われるから、となると?……みなさんはどうでしょうか。
ツイッターになかなか手が伸びないので、ブログにします。
5月1日〜15日のカメラロールから。
まずは某日。
ハイボールがおいしい季節だ。

20代の頃ハイボールに目覚めるきっかけになった銀座『ロックフィッシュ』が、クラウドファンディングを実施している。
ジンもよく飲んでいる。使うのはフィンランド、キュロ ナプエ。いただきものだ。私のジン史上、一番ぐっときているジン。香り高く、多層的。旨味が濃くてグルタミン酸が含まれているのではないかと思うほど。ジントニックもいいけれど、このジンにかぎってはシンプルにソーダで割るのが好きだ。
ライ麦畑を駆ける尻5つ、このビジュアルもかっこいい。
某日。
鹿児島のとうもろこしが、もう店に並んでいた。
まだまだ小さい。山芋と一緒にかき揚げに。合わせるのは蕎麦。キャベツとハムとじゃがいも(生を千切り)のごま酢和え。れんこんは、はなっから穴があいているので天ぷら初心者向き。高温に滑らせれば早くカリッと揚がる。
茄子は揚げ物の最後に素揚げして、にんにく生姜醤油をかけた。
うっすら寒かった日。
じゃがいもと鯖を、酒粕とバターでシチューに。鯖は皮面をよく焼いてから煮る。残ったスープにごはんを入れたら(2枚め)、リゾットのよう。
ここ1か月でよく作っているのが蒸し塩豚。買い物に行く回数が減ったので、塩漬けしておける塊肉が便利だ。
レシピというほどのものではない。
塊肉に塩をすり込んで1日置き、出てきた水分をよく拭いて、強火の蒸籠で30分蒸すだけ。蒸し汁がたくさん出るので、少し深さのある皿に入れて蒸す。
子ども用(3枚め)には切手サイズでうすーく切って。大人はわりと厚く切って薬味をたっぷり添える。
蒸し汁で炊いたごはん(4枚め)を一緒に食卓に並べる。端っこの脂身もにんにくと一緒に炊き込んである。このごはんだけでも、ずいぶんなごちそう。
5月5日。子どもの成長を祝う。
この日は子どもに献立を考えさせて、その通り作ってあげると約束した。
朝はしらすとのせたチーズトーストとウインナー。昼は唐揚げと天ぷら、太巻き、わかめのお吸物。太巻きの具はカニかま、玉子焼き、きゅうり、椎茸旨煮。
こごみは先日天ぷらにしてやったらとても気に入ったようで、この日はごまマヨ和えに。4枚めは柏餅。
いつも行く八百屋さんが新鮮な山菜を安く売っていて、見かけるたびにちょこちょこ買って帰る。
ある日「この前のこごみ、すごくおいしかったです!」とレジで話しかけたら、ソーシャルディスタンスを保ちながら並ぶお客さんたちがザワザワしはじめ、「あら私」も、「それじゃあ私も」とこごみを買って行ったことがあった。みんな献立に悩んでるんだろう。誰かが決めてくれるなら、こんなにありがたいことはない。そう思ってるのかもしれない。
大人はうにパン(軽く焼いたバゲットに無塩バターとウニをのせ、塩をちょこんと)、スナップエンドウの塩バター蒸しをカヴァと一緒に。私だって母の子だ。お祝いだ。
夜遅くお腹が減って、小かぶのぬか漬けとハイボール。
某日。
うどん。スーパーで買ってきたコロッケとイカのフライ。
緑の薬味がなく、赤たまねぎを薄く切って三回水を替える。アクが抜けて垢抜けた味になった。パプリカとズッキーニはフライパンでじりじりと焼き、にんにく生姜醤油をかける。

このうどんを茹でたときに、鍋の取手が取れてしまった。ひとり暮らしを始めた年から使っていた、麺を茹でるのになくてはならない古株だ(無印良品の廃盤)。
どうしようかと悩んだ末、アカオの実用鍋をネットで買う。
某日。
余り物の餃子の皮とセロリ、赤たまねぎでスープ。赤ワインビネガーをきかせて、セロリの葉を散らす。
鈴鹿のドミニクドゥーセからカヌレを取り寄せた。レースが中止になり、カヌレ好きの私とレース好きの夫が鈴鹿に敬意を表してシェイクハンズ。バーベーキューの残りのキャンティと。
小さな人たちまで、カヌレを食べよる。私が子どもの頃はそんなおしゃれな菓子はなかった。贅沢をさせたものだ。
ある日の在宅勤務の昼ごはん。セロリとクミンの塩焼きそば。量が足りず、黒ごまのおにぎりを追加でのせる。
小さいひとたちのおやつにパイナップルシェイク。パイナップルの筋を取ったりして細かく包丁を動かしていると、どこか不思議と魚を捌いているような気分になる。残った部分は刻んでコンポストへ。
ものすごく甘い堆肥ができそうな気がするけど、どうなんだろう。
牛乳の消費が滞ってしまった日。
パニール(インド発祥の自家製フレッシュチーズ)を作る。最近パニール愛が再び熱い。
用意するのは、
・牛乳 500ml ・酢 大さじ1(もしくはレモン汁大さじ1) ・塩 ふたつまみ
鍋に牛乳を火にかけ、沸騰しそうになったら火を止め、酢と塩を加えて混ぜる。
ダマダマができて凝固してくるので、粗熱が取れたら、ざる(ふきんやさらしを敷いておく)にあげて水気を切る。残ったチーズ部分をふきんでくるんで重しをのせ、30分置く。冷蔵庫で冷やせばできあがり。
上の分量で、だいたい10センチ角、厚さ1.5センチのパニールになる。1〜2日で食べきる。
風味がおだやかで、舌にじんわりしみる。「蘇」が流行っているけれど、パニールも簡単でいい。
初めてパニールに出合ったのは、ダバインディアだった。
このパニールをトッピングにのせた青菜のスープを子どもに作る。チーズが添えてあると、青い野菜を不思議とたくさん食べてくれるのだ。
にんにくを少しきかせた小松菜のスープに、パニールを浮かべる。サラダの具としてもおすすめだ。ビタミン・ミネラルに加えて、良質のタンパク質が取れるから、特に夏は重宝する組み合わせ。
ほかには、おやつ用にはちみつをかけてビスケットを添えたりもする。ビスケットは『かーさんケット』。これ、おいしい。自粛期間中ぜんぶ手作りおやつというわけにはいかないし。
某日。
昼食に20秒玉子丼。私の二冊目の本『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』の巻頭レシピ。著者自らとても頼りにしている。
この日はしょっつるを入れたバージョンで。しょっつるを一本もっていると便利。私は仙葉商店のものを使っている。

某日。
料理のつけ合せによく作るじゃがいも料理。

これは粉吹き芋とポテサラの間をとったような、それはそれはいい加減な料理で、皮をむいたじゃがいもを一口大に切って水から茹で、柔らかくなったら湯を捨て、再びコンロに戻して水気を飛ばしながら鍋をゆする。粉吹き芋を作るわけだ。
水気が飛んだらスプーンでつぶし、塩、胡椒、赤ワインビネガー、マヨネーズを加えてスプーンで大きく丁寧に混ぜる。もう少し具だくさんにしたいひとは、きゅうりやハム、玉ねぎ薄切りをここで加えてもいい。
具は何であろうと、べちょべちょしたポテサラなんておいしくない。鍋ひとつで済むこういう合理的な調理方法を考えるのが大好きだ。
ほかに、味噌漬けしておいたぶりを焼いた。
金曜日。
大森『catacata』の矢部さんがワインのボトル販売をはじめたと聞き、飛んで行く。
オーストリアのビオ界のリーダー・ロイマーさんのゼクトや、ゲゼルマン・ツヴァイゲルトのヴィンテージなどを見つくろってもらう。
ワインの肴をちょこちょこ作って、夫と飲む。
舞茸と筍を中火でじりじり焼いて塩と胡椒、ゴルゴンゾーラで味をつけたもの。
実山椒をごま油でじっくり炒め、その油と実と、茹でたてのそら豆をあえて塩を振ったもの。
レタスと豚肉のしゃぶしゃぶ。ごまダレで。
朝起きたらシンクにマシュルームが転がっていた。隣にはごはん粒がついた飯碗。たぶん酔っぱらってマッシュルームごはんを作ったんだと思う。
ある日のランチ。
30分で作る“うちのカレー”。
レシピは別のところで紹介したいと思っているので、決まったらまた伝えます(企画がボツになったら、このブログに書きます)。
付け合せのサラダは、生のマッシュルーム、ラディッシュ、あみえびをオリーブオイル+酢+塩で。
某日。
ぱんっと太った真イワシを塩焼きにする。肌がとても柔らかくて、内臓を処理している間にも少し皮がめくれてしまうほどだった。
2・3枚めは。茄子を焼いて酢醤油に浸したもの。青梗菜と舞茸のスープ。
某日。30℃超え。
朝8時から公園に行き、すでに汗だくになる。
帰りにセブンイレブンで冷凍塩味そら豆を買って帰る。塩分補給を兼ねた朝おやつにちょうどいい。濃いめの塩の膜が全体に薄くしみている。日本語としてはおかしいけれど、本当にそんな味なのだ。税込み170円。
9時帰宅。9時半から仕事をはじめる。
頼んでいたアカオの鍋が届いた日。
やっぱり直径30センチ以上あると、麺の対流がちがう。たっぷりの湯で泳がせた蕎麦は抜群においしい。
(子どもが赤ちゃんだったころ、これくらい大きな鍋があったら、沐浴させられたな)
合宿所の台所やなんかに必ずあって、べこべこに凹んだ、夏の風景の一部のような鍋。自宅に編集者が撮影に来ても、決して見向きもされない鍋。
メニューはかきあげ(パルシステムの)、納豆、もずくをのせた蕎麦。きゅうりの二杯酢、アミエビをたっぷりかけた冷奴。
暖かい日。
パルテノン神殿むきにしたピーマンの種をコンポストに入れておいたら、3週間ほどして芽が出た(1枚めの白いひょろっとしたもの)。鉢に植えたものは発芽しなかった。夫が言うには、コンポストのほうが環境に力があるらしい。
夫はコンポスト醸しに熱心で、いくつかのプランターに、水分などの条件を変えたコンポストを4種類試している。私は野菜くずをテラスに出して乾かしておく担当。2枚めの写真は色つやも匂いもよく、いい土に仕上がっているとのこと。確かに、すごくいい匂いがする。
3枚めはアボカドの種。暖かくなってきて、こちらも発芽しそう。子どもと観察を続けている。名前はアボちゃん。
ハウスキーピングのなかに、子どもの遊びがたくさんある。
都立の小学校は6月1日から再開されるだろうとのこと。あと半月、子どもたちと過ごす生活を楽しみたいと思う。
このホームページのタイトルにもしている『A small,good thing』(さだやかだけれど、役にたつこと/村上春樹訳)がたくさんあるとうれしいです。
では、よい5月を。